第12回 関西G-meeting(GIST学習会)の案内
2026年4月25日(土) 第11回おしゃべり会(大阪 難波)
2025年12月13日(土)Xmas忘年会(大阪 難波)
2024年10月12日(土)RFL滋賀
- 《夜明けの萌芽》外伝 - (志渡 海羽 著)
《湖彦の一日》
滋賀医科大学の丘に、柔らかな朝の光が降り注いでいた。
「リレーフォーライフ・ジャパン」の紫の横断幕が、秋風のなかでゆらめいている。がんと共に生きる人、見送った家族、支援する仲間たちが、それぞれの足でゆっくりと歩いていた。
その片隅の白いテント。古暮湖彦――六十七歳。手網で焙煎した豆を、丁寧に挽いている。今日の豆は、一週間前に焼いて寝かせたエチオピア・ゲイシャ。華やかで、ベリーの香りを帯びた浅煎り。火加減も、焙煎曲線も、仲間の顔を思い浮かべながら決めた。
「この香りなら、空の上まで届くだろう」
湯を細く落とすと、粉がふくらみ、甘い蒸気が立ちのぼる。カップの底に沈む微細な泡の粒が、まるで命の灯のように見えた。
――旅立った仲間の名前を、ひとり、またひとり思い出す。
痛みに耐えながら笑っていた顔、退院後にもう一度コーヒーを飲みに来てくれた声。香りが彼らの記憶を呼び覚ます。
グラウンドのお向かいのブースで、乳がんの経験を持つ彼女がひとりでカフェを開いていた。古暮は軽く会釈して「通りすがりのコーヒーマニアです」
そう言って渡したのは、さっきドリップしたゲイシャのカップ。
香りが風に溶ける。ラズベリー、ジャスミン、そしてほんの少しのアプリコット。 彼女はその香りを吸い込み、ふっと目を細めた。
「……あなた、焙煎もドリップも自分で?」
「ええ。手網ですよ。焙煎したのは、ちょうど一週間前です。」
「そんな……この香り、美味しい。」
彼女は笑い、少しだけうつむいた。
その仕草に、古暮はかつての仲間の面影を見た。香りに嘘をつけない女性。
病に負けず、最後まで「味で生きたい」と言っていた人。
「焙煎はね、命と同じで、焦っても深まらないんですよ」
古暮の言葉に、彼女はゆっくり頷いた。
「そうかもしれませんね……」
午後、歩道を彩る紙灯籠が一斉に灯る。紫の光が並び、風に揺れている。
それは、旅立った仲間たちの“名前のない光”。
湖彦はケトル置き、帽子を脱いだ。
「おいしい香りを、そっちに送るからな」
焙煎の残り香が夜気に混じり、やがて空へ昇っていく。その香りの道の先に、きっと笑顔があると信じながら。
「また来年も焼こう。香りで、みんなを思い出せるように。」
テントの灯が消え、静けさだけが残る。
だが、あのゲイシャの香りは確かに生きていた。
空へ旅立った仲間たちの記憶とともに
(了)
2025年第10回おしゃべり会
第11回 関西G-Meeting(GIST学習会)
2025年6月14日 大阪市立生涯学習センター第2研修室(大阪駅前第2ビル)
講師:高橋 剛先生(大阪大学医学部)
2025年第9回おしゃべり会
2024年12月14日(火)Xmas忘年会 (大阪 難波)
2024年10月12日(土)RFL滋賀
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